次世代のための日本のスマートコンストラクション

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今やあらゆる産業の変革にデジタル技術が必要であり、建設業界はデジタル技術から多くの恩恵を受けている産業分野である。日本では度重なる自然災害が建設の哲学やプロジェクトに影響を与えてきた歴史がある。オリンピック開催が近づく中、伝統的な産業の変革に重要な役割を果たすテクノロジーとは一体何だろうか。

日本の建設業の今

アジア太平洋地域の他国と同様、日本における建設部門の成長は現在比較的緩やかである。成熟した市場において商業ビル建設を中心に据える香港、シンガポール、オーストラリア、韓国などと同じ戦略を持ち、2020年まで年約4%の成長が予測されているが、これは5.4%から減少している。アジア太平洋地域は、急速な都市化、インフラ開発への支出増加に加え、より手頃な住宅プロジェクトの必要性に対処するニーズがあるため、建設業が世界で一番盛んであるはずにもかかわらず、この成長率の低下は少々懸念材料である。

昨今の建設業でもう一つ特筆すべき点は運用上の複雑性が増したということであろう。建設会社は急速な規模の拡大だけでなく、潜在的な遅延リスクの軽減、資産のライフサイクル管理の最適化、異なる地域での多様なプロジェクトの管理などにも対応しなければならない。さらに、テナントの期待も変化してきている。大規模な多国籍企業(MNC)などのビルオーナーは、高い快適性と利便性に加えて、最先端のセキュリティ管理機能とエネルギー効率の高いサービスを備えた高性能の建物を期待しているからだ。

日本の建設業界の推進要因

上記に加え、日本の建設業界が飛躍を遂げることができる多くの取り組みが進行中である。 日本のインフラ市場は、2020年オリンピックに向けた準備や、地震や津波などの度重なる自然災害によって破壊された建物等の再建に投資を続けている日本政府と相互利益を得ることができる。

2020年のオリンピックが新型コロナウイルスの影響を受けずに計画通りに開催されれば、日本の商業建設市場は観光客の増加による追い風も受けることができるであろう。 そして、日本で進む高齢化は、物理的に活動的な労働者が減っていくということだが、同時に、新しく改良された医療施設の需要が高まることも意味している。

労働力の要因

労働者不足も日本の建設産業に影響を与える要因である。日本は高齢化が進んでおり安倍政権は労働力強化のため、国外からより多くの外国人労働者を建設業界に取り込むことを目的とした新しい法律を制定した。しかし、この労働者不足は自動化エンジニアリングとロボットによって補える可能性があり、日本はそのためにデジタル技術を活用している。様々な労働を自動化することは理にかなっており、日本建設業連合会は、2014年と比較して2025年までに128万人の建設労働者が減少すると予測している。

ビルディングインフォメーションモデリング(BIM)の可能性

現代のスマートビルディングは、ビルディングインフォメーションモデリング(BIM)に依存するようになった。これは、企業がビルからデータを収集、分析し、それを活用して指数関数的な利益を得るプロセスである。その考え方は、BIMが環境情報から居住者の電力使用習慣まであらゆるデータを提供し、建設会社やビル所有者が建物の運営方法をより制御できるようにするものである。特に建設会社の場合、建築プロジェクトの様々な側面を合理化し、開発を全体的にスムーズにすることを目的としている。

McGraw Hill社がアジアの多様な採用レベルのユーザーに、BIMの利点に関する調査をしたところ、日本の請負業者の97%がBIMを使用した投資収益率がプラスであると報告している。また、多くの企業がBIMを使用した場合特定の条件で好影響があったと報告しており、エラーと見落としが41%削減、作業のやり直しが31%削減され、プロジェクト見積もりが21%正確になり、プロジェクト期間が19%短縮され、廃棄物管理が23%改善されたとのことである。

すでにBIMを実施している有名な日本の建築プロジェクトには法務省が含まれ、刑務所その他の施設での受刑者と外部地域とのコミュニケーション及び可視性の制御や事故防止に役立てている。そして福島県須賀川市では、新しい須賀川市役所建設のプロジェクトマネージャーが、建築設計において高い精度と一貫性の提供及び設計内容を市民と共有するためにBIMを採用している。

役割を担うテクノロジー

日本は将来的にスマートで持続可能な国を目指し、必要な技術計画を進めている。それはスマートビルディングの拠点となるべきスマートシティーだ。スマートシティーの実現には強力なネットワークが不可欠なため、5Gが主要な役割を果たすことは間違いない。そのような強力なコネクティビティーが、都市のそこかしこに組み込まれて、データ収集や人々の生活向上の役割を担うIoTセンサーなどのテクノロジーを可能にする。これらのテクノロジーはスマートビルディングの生命線であり、建設会社や建物の所有者に使用されることで、そこに住み、働く人々によりよいユーザーエクスペリエンスを継続的に提供することができるのである。

日本のスマートビルディングによって生成される膨大な量のデータを価値のある情報に転換していくためにAIはますます必要になっていくであろう。さらに、AIは建設会社が建築する建物の設計段階から、建築済の建物の安全な利用に至るまで、すでに活用が進んでいる。小松製作所が使用しているSMARTCONSTRUCTIONイニシアチブなどの自走型機械は重機類に人工知能が取り入れられ、コネクテッドでスマートな建設現場の実現を可能にしている。日本のAI利用は急速に増加しており、Ernst&Young社は、日本のAI市場が2015年の3.7兆円から2020年には23兆円に6倍に成長し、2030年までには87兆円に達すると予測している。

一例として、オーストラリアの建設業界がある。オーストラリアの建設業界は、安全性や競争の激しい市場、薄利多売に更なる焦点を当てるためにデジタルテクノロジーを活用している。スマートソリューションの実現のために、すでに成熟したマーケットである建設、エンジニアリング、貿易コンサルタント等の企業がテクノロジープロバイダーと提携するケースが増えている。最近、オーストラリアの大手エンジニアリングコンサルタント、そして地域の建設会社であるGHDなどの既存企業が、オレンジビジネスサービスとConnected Objectsと呼ばれるIoTaaSプラットフォームの共同開発を行っている。これは、業界固有のデータモデリングと分析を可能にするためだ。これにより各パートナーは各自の価値提案と既存ビジネスに集中できるため、クライアントにとっては優れたソリューションとなる。

日本の将来は面白いものになる。

我が国はすでに未来の建物建設にスマートテクノロジーを採用しており、この傾向が後退することはない。良いデジタルパートナーと連携することで、企業はスマート建設プロジェクト発進の際、技術投資を最大限生かすことができる。

オレンジビジネスサービスが建設関連企業の方々にどのようなIoTその他のデジタルソリューションを提供できるのか。詳細は下記サイトにて。

Christophe Ozer
クリストフ オゼール

クリストフ・オゼールは現在アジア太平洋地域のセールスヘッド及び日本のヘッドを兼任している。APACのセールスヘッドとして、域内各国チームの売上向上、新規の大規模案件獲得をリード、サポートしている。 一方2012年まで合計で10年以上日本に滞在した経験と、オレンジビジネスサービスジャパンのカントリーヘッドとしての計7年以上(2007-2012 & 2016-現在)の経験から、日本のマーケットに関する知識は深い。 ジャパンのカントリーヘッドとして着実にビジネスの成長を牽引し、日本のキャリア各社とも確固で戦略的なパートナーシップを確立した。オレンジ全社の中で初めてパートナーシップ型ビジネスを成功させたといえる。 ベルギーのリエージュ大学にて販売管理学学士号取得。